信託契約の内容として、お父さんを委託者兼受益者として、長男を受託者として株式を信託します。
この信託契約によって、株式は長男に譲渡されますが、税務上は、株式は受益者の下、すなわち依然としてお父さんの所有と見做されますから、所有者に変動はなく譲渡税等は課されません。
しかし、長男は会社法上の株主となりますから、議決権行使を通じて会社の経営を担い、役員人事を行います。
ここで、信託契約中に、指図権と解除権を明記しておきましょう。
指図権とは、長男が議決権を行使する場合は、お父さんの同意を要するといったことです。
解除権とは、長男が後継者として相応しくないと判断したら、信託契約を解除して、株式をお父さんに戻せることです。
もちろん、長男が後継者として相応しい能力があることが確かめられたら、信託契約を解除し、株式をお父さんにいったん戻してから、事業承継税制を活用して、確定的に事業承継すればよいのです。
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